お店に来てくれた人に贈り物を送りたいなぁ
予算も考えないと・・・
お客様にせっかくプレゼントするなら、コスパ良くおこないたい。そのためには心理法則を知っておく必要があります。さまざまな小売の現場では、心理法則を使った、プレゼント集客方法が活用されています。
今回は、プレゼント集客をする際、知っておくと効果的な集客方法の実例と、その心理法則などをご紹介します。
プレゼント集客をする前に・・・
プレゼント集客をおこなう前に、まずプレゼント集客のメリット・デメリットを知りましょう。その後、プレゼント集客の事例や手法を知ってもらい、効果が出るやり方とそのコツを掴みます。
最後に、心理学や行動経済学の理論を知って、知識を体系化しておけば、忘れにくくなりますし、人に説明しやすくもなります。もちろん、確実に使いこなす手助けとなります。
プレゼント集客のメリット
まずは店舗集客における、プレゼント集客のメリットをご紹介します。
1、顧客が来店しやすくなる
来店するだけでプレゼント。これってよくあるキャンペーンですが、これだけがプレゼント集客の手法ではありません。むしろこの方法は、プレゼントをもらうだけで何もせずに帰るお客様を育ててしまいます。
そうではなくプレゼントを渡すタイミングをずらします。退店直前にプレゼント集客をおこなってみましょう。もしくは、店内で消費できるものをプレゼントします。
通常、来店には、どんな人であっても、「飽きた」「行きにくい」という心理が発生します。それらの心理を軽減させれば、来店率も上がり、売上アップにつながるというわけです。
2、再来店する人が増える
プレゼントによって再来店する可能性も上がります。再来店する人が増えれば、売上も上がります。
3、新規の顧客も獲得できる
プレゼントによって、新規来店人数が増えます。紹介カードなどを使った紹介キャンペーンをプレゼントと絡めることで、新規の来店数も増えるでしょう。
プレゼント集客のデメリット
つぎに店舗集客における、プレゼント集客のデメリットをご紹介します。
1、費用がかかる
やはりプレゼントは費用がかかります。なおかつ、再来店しないで、プレゼントだけもらって帰る人も一部増えます。これによって経営者のモチベーションが下がり、止めてしまうケースも多いです。
しかし、それは使い方が間違っています。プレゼントだけもらって帰る人がそもそも出ないような仕組みづくりが大事というわけです。
例を上げます。たとえば、下のようなものです。
店内だけで使えるプレゼントを渡す
例)カルディ珈琲の淹れたてコーヒーの試飲
退店直前にお土産を無料で渡す
例)塚田農場のお土産のお味噌(←今はやってないかも?)
2、大したものをプレゼントできない
これはそもそも前提が違っています。大したものでなくても、わざわざプレゼントしてくれた物に心動いたことはありませんか?
感動するプレゼントは基本的にお金ではないようです。もちろん高額プレゼントの方が効果は高いですが、それだけではないようです。
小さなプレゼントでも強い感動をおこすことができると、データが証明しています。
小さなプレゼントの例は下のようなものです。
ティッシュ
例)タクシー会社のティッシュ配布(年間1,000万はかかっている言われていますが、ポリシーで止めないそうです)
記念ステッカー
例)雑貨店や水道屋さんなどの集客に。冷蔵庫やパソコンに貼ってくれたら、宣伝効果アップ!
記念クオカード
例)中古買取ショップさんの周年記念
高価なプレゼントはできない
バカ高いプレゼントはしない
景品表示法という法律があるので、そもそも高価なプレゼントは止めておいた方がいいです。
上限が設定されていて、それ以上配るのは違法とされています。くわしくは、消費者庁が作ってる下のURLをごらんください。
景品表示法について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_160801_0001.pdf
プレゼント集客の効果的なアイデア
プレゼント集客は、実施する前の設計思想が大事です。なんでもタダで配って上手くいくビジネスは100店あって、1店くらいでしょう。
ここでは、確実に成果を上げられる効果的なアイデアをご紹介します。
店内で使えるものをプレゼントする
効果的なアイデアの1つ目は、店内で消費できるものをプレゼントすることです。先ほどのカルディコーヒーの試飲がこれにあたります。店内使用限定というルールを作ることで、できるだけ店内にいてもらって商品を見てもらおうと言う意図があります。
店内で使える例
店内で試飲できる飲み物
店内で試食できる食べ物
退店直前にお土産を渡す
2つ目は、退店直前もしくは退店後にお土産を渡すことです。特にお支払いが終わってから渡すほうが効果が高くなります。お客様がお店を出られる直前まで見送ってください。さよならを言う直前もしくは言ったあとに、お土産を渡しましょう。
退店直前のお土産例
居酒屋で味噌のお土産(塚田農場)
イタリアンでオリーブオイルのお土産
事前告知なしで数量限定のプレゼント
数量限定の「おまけ」です。試飲や試食でも構いません。突然、試食をすすめらたら嬉しいものです。
事前告知を全くしないのに集客の役立つのか?よくそう言われます。この方法は、お土産と同じくリピート購入を促す方法の一つです。
事前告知なしのプレゼント例
スターバックスの試飲、試食
どうしても入店直後にプレゼントしたいなら・・・
入店直後にプレゼントすると、そのまま何も買わずに帰ってしまう人がいます。これはプレゼント集客のデメリットです。
しかし、どうしても入店直後にプレゼントせざるを得ない場合。
そんな時は、事前告知なしで渡す、店内で消費してもらうなどが良いと思います。
それも無理な場合。事前に告知して、プレゼントをそのまま持って帰ってもらう場合はどうしたらいいのか。
「事前告知をして入店直後にプレゼントを渡し、そのまま持って帰ってもらう」という条件で考えるなら、下のように、やりましょう。設計内容は下のようなものです。
入店直後にプレゼントするなら・・・
まずプレゼントしただけで終わらせてはいけません。プレゼントする代わりに「アンケートにご協力ください」や「ある商品を使用した感想をお書き下さい」と付け加えます。
アンケートは簡単なもので良いと思います
その際に、住所・電話番号・名前を書いてもらい、それらを今後の販促リストとして扱います。
また、無料でおためし品を渡し、よかったら買ってもらえやすくします。
スタンプカードを発行することで、スタンプラリーに参加していただけます。スタンプカードには、1個か2個、事前にスタンプを押しておくことを忘れずに。
たった1つの商品が徹底的に安くなるクーポン
スーパーで「玉子1パック10円!」とPOPに書かれていることはないですか?もしくは牛乳でもありますね。そういう場合、玉子を買うついでに、玉子以外のものを購入して帰るという経験はないでしょうか。
これが、来店する動機を作るための「1つの激安商品を作る」という作戦です。これは大阪にある激安スーパー「玉出」でよく使われている手法です。
玉子は購入頻度の最も高い商品の一つで、それを目玉商品にすることで、来店動機を作り、入店してもらえたら、その他の商品を「ついででに買ってもらえる」というやり方です。
ローボール・テクニックとも呼ばれていて、心理学・行動経済学で言う一貫性の法則の一つです。
魅力的な来店動機を作って、まずは入店してもらう。店に入ってさせもらえたら、「ついで買い」を促す仕組みを作ってみませんか。
来店回数に応じて値引きするスタンプカード
はじめて来店してもらうよりも、2回目の来店や3回目の来店をしてもらう方が儲かる。小売の世界ではそう考えられています。
営業でもそうです。はじめてご注文をもらうよりも、2回目のご注文や3回目のご注文をもらって収益を稼ぐとされています。
小売の世界では来店回数に応じて値引きするスタンプカードという集客ツールが愛用されています。
初回来店時に3%、2回目来店時に5%、3回目来店時8%、5回目来店時に40%などと、割引率は高くなっていく、何度も来店することで安くなるというカード。安くしても初回来店時ほど、販促コストがかからないから、利益が取れるという判断ですね。
このスタンプカードのコツは、初回来店時から割引が発生することと、4回目や5回目に劇的に安くなる回を作っておくことです。
これによって、スタンプカードの威力が数倍上がるデータがあります。
これはなぜか。それは最初からおまけしてあると、心理学で言う一貫性が生まれてモチベーション(やる気)が上がるからです。
人は一度やったものを続けていきたいという心理があります。それを使って、最初からスタンプが押されているスタンプカードを渡すことで、最初にやりづらいというハードルを下げてやっているわけです。
これによって、最初の関門はクリアできます。
つぎに、4回目や5回目にめちゃ安くなる回を作っておくことですが、こちらも人間の心理をふまえています。
それは、何度も来店することによる達成感と保有効果を考えています。非常に魅力的な割引を受けるために何度も来店してもらう。そうすることで、来店することを生活の習慣の中に組み入れてもらいます。
そうすると、スタンプカードが自分の生活の一部として考えてもらえるようになります。そして何度も来店することで、魅力的な割引を受けてもらう。この達成感を得てもらうことも考えられています(←これをゲーミフィケーション・インセンティブと呼ばれています)。
プレゼント集客の注意点
次に、プレゼント集客をおこなう際の注意点をご紹介します。
「プレゼントをもらうだけで何も買わない人」を育てない
プレゼントを告知する。必ず来店者は増えます。一方、入店直後にプレゼントを渡しては、何も買わない人を育ててしまいます。
これを防ぐには、
- 店内で使ってもらう
- 退店直後に渡す
- 事前告知をしない
などを取り入れましょう。
商品を値引きすると、価値が下がる
人気商品をプレゼントするのは、避けましょう。
もちろんしっかりとした理由があるなら別ですが、何も理由がないのに、人気商品をプレゼントしてしまうと、その人気商品の価値が下がってしまうことがデータで実証されています。つまり通常の時に、売れなくなります。
突然のプレゼント感を演出する
お客様がプレゼントの目的を販促のためだと思い込んでしまうことがあります。そんな時、売上が上がらないというデータがあります。そこで販促目的だと思い込まないよう、突然プレゼントすることになったというプレゼント感が出るような演出を考えましょう。
たとえば、お店の何周年記念だったので、それを祝して、おまけをつけるとか。
事前告知をしないで、試食や試食も良いと思います。サンプルを配る、モニターをお願いするのも良いでしょう。
プレゼントで来店数は増えたが、売上が増えないと嘆くアナタ、販促目的だと露骨な態度が出てしまっていませんか。お客様に喜んでもらおうと言う気持ちが出発点です。常に喜ばせようという気持ちで、販促を考えてみましょう。
プレゼント集客は、なぜ効果があるのか?
プレゼントをする目的は何か?
プレゼントは、なぜ効果があるのでしょうか?
それは、お客様に喜んでもらったり感動してもらえるからです。喜んでもらえないプレゼントはいくら配ってもなかなか効果は出てきません。
喜んでもらうプレゼントというのは、見返りを求めないプレゼントであるとも言えます。見返りを求めるプレゼントだとお客様が感じると途端に喜んでもらえなくなります。
そのように、プレゼントを使った集客方法は、裏に心理法則が大きく関わってきています。
心理法則を知っておけば、それを活用してお客様にさらに喜んでもらえるプレゼントができるようになります。
プレゼント集客に使える心理法則
ここではプレゼント集客で使える心理法則をまとめてみます。
返報性の法則
返報性の法則とは、何かを受け取るとお返しがしたくなるという心理法則です。この心理法則は、プレゼントを使った集客方法に非常にマッチします。
返報性は与える側が有利になり、受け取る側は不利となります。というのは、「タダより高いものはない」という慣用句どおり、返報性は与えられる側のリスクが高くなるからです。
返報性のリスクは、3つあります。
・もらうと次のお願いごとが断りづらくなる
・欲しくないものをもらっても返報性は作用する→「何かお返ししなきゃ」という気持ちになる
・小さなものをもらっても、大きなもので返してしまう。1回は1回。
返報性を使ったプレゼント集客の例
・原価数円のプレゼントを予告なしに渡す
・プレゼントに感謝の手書きメッセージを書く
・見返りを期待しないプレゼント
希少性
希少性は、入手できないものがあると不利になると考えてしまう心理。希少性は希少価値を伝える人がいて成立します。希少性はお金から体験まで機能する心理法則です。
ブームで売り切れた商品は大体希少性の心理から来ています。下のブームは、すべて希少性から来るものです。
希少性は、2つのポイントがあります。1つは、入手困難であること。入手できる自由を失うことは、重要な品であるに違いない、または、他の人より不利になってしまうと思ってしまいます。このことから、希少性が高まっていくわけです。
希少性が高まっていくには、数量限定と入手困難さ、そして期間限定があります。これらは、ブランドであるとさらに効果が倍増します。
希少性を使ったプレゼント集客の例
・有名人の私物
・高級ブランドの紙袋
進むとやる気が出るという法則
エンダウドプログレス効果とも言われています。やってみると、やる気が出るという心理法則です。
たとえば、お風呂って入るまでは面倒くさいことありませんか。でも入ると気持ちいいものだと、入ってる時に分かります。だんだん高まる気持ちに流されて、やる気が高まっていくのがこの心理です。
エンダウドプログレス効果を使ったプレゼント集客の例
・最初から1個2個押されたスタンプカード
・ヒント付きのクイズクーポン
・次回来店すると割引が発生する割引チケット
ピークエンドの法則
ピークエンドの法則というのは、
というものです。
終わりよければ全て良しとも言いますが、どれだけひどい映画でも、途中で一つ良いシーンがあって、最後のシーンが良ければ、映画の評価が上がるものです。
一番心が動いた時点と終わり間際の時点、この2点に気を配っておけば、接客や営業も印象が良くなります。
このピークエンドの法則は、ダニエル・カーネマンが提唱した法則の一つで代表性ヒューリスティックの例とも言われています。
ピークエンドの法則の例
行列ができるラーメン屋
花火大会の花火
デメリットの説明からはじめる営業トーク
保有効果
この心理法則のことを保有効果と言います。
この法則もダニエル・カーネマンが提唱した法則の一つです。
手に入れた物の価値が高く感じるこの保有効果は、たとえば下のような例があります。
保有効果の例
自分の古着は高く売れる、他人の古着は安く感じる
返品保証
メルカリの参考価格
お試し期間
ゲーミフィケーション
ゲーミフィケーションは、行動に遊びの要素を入れることです。
遊びとは、ゲームのことで、4つの特徴があります。4つの特徴は、競争、模倣、運、めまいに分けられています。
※社会学者のロジェ・カイヨウが提唱
現代において、遊びの要素を入れたものがゲーミフィケーションと呼ばれています。
スマホやパソコンには説明書がないものがあります。たとえば、iPhoneです。iPhoneは実際に触りながら、少しずつ操作を覚えていくことに楽しさを感じられるよう設計されています。
遊びは論理、理屈などではなく、感覚的なものです。ゲーミフィケーションは、いくつかのテクニックがあって、だんだんとできることを増やしていくと言うクリア感だったり。難易度を少しずつ上げていくというレベルデザイン設計という考え方もあります。
ゲーミフィケーションを使ったプレゼント集客の例
なぞなぞ付割引券
クイズ付スタンプカード
インスタ映えする店内で写真が取れる
スタンプカードを出世券する
サンクコスト
「もったいない」という心理状態になるコストのこと。過去に払って取り戻すことができない費用のことです。
二度と着ることはない服を捨てられない。負け続けのギャンブルを途中で止められない。合理的な判断なら止めるべきな状況でも途中で止められない効果のことを、サンクコスト効果と言います。
<サンクコスト効果の例>
公共事業
ギャンブル全般
コンコルド航空
さまざまな心理法則がある中で、一番効果的な方法は何でしょうか。
返報性を使うのが最も効果的
プレゼント集客には、返報性の原理という法則が使われています。さまざまな心理法則の中で、最も効果的なのが返報性の原理です。
返報性を適切に活用するのが、最も安定して集客できる方法につながります。ぜひとも返報性を使った集客方法を考えてみましょう。
まとめ
今回は、プレゼント集客をする際、知っておくと効果的な心理法則とそのやり方をご紹介しました。